「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」国立西洋美術館

「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」国立西洋美術館

1月初旬、上野の国立西洋美術館で開催中の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」へ行ってきました。

 

 

内容はベルリン国立ベルクグリューン美術館からと精選された100数点の展示で、
作品はピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティのものに絞られています。

ほぼこの4人の作品のみという、とても豪華で見ごたえのある展示。

 

しかも本展ではほとんどの作品が撮影可能だったため
(自分も含め)多くの人が携帯片手に撮影しながら鑑賞していました。
昔は絶対に撮影禁止の展示が多かったのですが、
撮影可能な展示も増えてきているように思います。何故なのでしょう...??

 

じっくり見たいものが多すぎて、時間が全然足りない...
そんな展示会でしたが、以下は特に惹かれた作品です。

パブロ・ピカソ《グラス、花束、ギター、瓶のある静物》1919

多様な色彩と明暗のコントラスト。
静物画ですが、あまり落ち着いた気持ちでは見られないようなエネルギーと迫力があります。

 


パブロ・ピカソ《座って足を拭く裸婦》1921

 


パブロ・ピカソ《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》1936

 

パブロ・ピカソ《多色の帽子を被った女の頭部》1939

学術的な詳しいことまではわかりませんが、ピカソの絵画は、見ていて落ち着かないというか、強烈なデフォルメとオリジナリティで事物の本質を突き出してくる...いつ見てもそんな印象があります。

 

パブロ・ピカソ《黄色のセーター》1939

パンフレットにも使用されているこちらの絵画も、美しくもどこか物悲しい...心の深いところにズシンと響いてくるような作品でした。

 

パウル・クレー《黒魔術師》1920

本当に「黒魔術師」なのか?と思えてくる色彩もカラフルでユーモラスな作品。

 

 

パウル・クレー《イレーネが成長した時のための象形碑文》1920


クレーの子供への慈しみが伝わってくる、可愛らしい絵。
図録を読むとこの作品が制作された翌年に友人の娘「イレーネ」は幼くして命を落としてしまったという、とても悲しいエピソードがありました...
 

 

 

パウル・クレー《子供の遊び》1939

今回「ピカソ展」と思って来ましたが、パウル・クレーの作品を思いの外たくさん見れて嬉しかったです。

 

 

アンリ・マティス雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943

  

アンリ・マティス縄跳びをする青い裸婦》1952

 

マティスの作品には、もちろん作品として素晴らしいのですが、同時に今の時代でも全く古びない、何か垢抜けた都会的な色彩と造形のセンスの良さのようなものを感じてしまいます。

 

アルベルト・ジャコメッティ《ヴェネツィアの女 IV》1956

 極限までそぎ落とされた躰。
その背後にかなり存在感のあるピカソの巨大な作品...
とても贅沢ですが、ジャコメッティはジャコメッティ作品だけの空間で見た方が、心に迫ってくるものがあるような気もしました...

 

アルベルト・ジャコメッティ《広場 II》1948-49

この作品とても好きでした。
同じ広場にいても、みんな向かい合うことなく、それぞれ違う方向を見ている。
なんだかこの展示会の空間にいる人たちとも重なっているように感じました。
 

 

もちろん過去が良い、現在が良い、という話ではありませんが「ピカソとその時代展」という名の通り、本当にピカソと同時代に生まれた、傑出した豊かな絵画芸術表現の「すごさ」のようなものを改めて感じさせてくれる、とても良い展示でした。

 

ブログに戻る