ほぼこの4人の作品のみという、とても豪華で見ごたえのある展示。
パブロ・ピカソ《グラス、花束、ギター、瓶のある静物》1919
パブロ・ピカソ《座って足を拭く裸婦》1921
パブロ・ピカソ《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》1936
パブロ・ピカソ《多色の帽子を被った女の頭部》1939
学術的な詳しいことまではわかりませんが、ピカソの絵画は、見ていて落ち着かないというか、強烈なデフォルメとオリジナリティで事物の本質を突き出してくる...いつ見てもそんな印象があります。
パブロ・ピカソ《黄色のセーター》1939
パンフレットにも使用されているこちらの絵画も、美しくもどこか物悲しい...心の深いところにズシンと響いてくるような作品でした。
パウル・クレー《黒魔術師》1920
本当に「黒魔術師」なのか?と思えてくる色彩もカラフルでユーモラスな作品。
パウル・クレー《イレーネが成長した時のための象形碑文》1920
クレーの子供への慈しみが伝わってくる、可愛らしい絵。
図録を読むとこの作品が制作された翌年に友人の娘「イレーネ」は幼くして命を落としてしまったという、とても悲しいエピソードがありました...
パウル・クレー《子供の遊び》1939
アンリ・マティス《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943
アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》1952
マティスの作品には、もちろん作品として素晴らしいのですが、同時に今の時代でも全く古びない、何か垢抜けた都会的な色彩と造形のセンスの良さのようなものを感じてしまいます。
アルベルト・ジャコメッティ《ヴェネツィアの女 IV》1956
極限までそぎ落とされた躰。
その背後にかなり存在感のあるピカソの巨大な作品...
とても贅沢ですが、ジャコメッティはジャコメッティ作品だけの空間で見た方が、心に迫ってくるものがあるような気もしました...
アルベルト・ジャコメッティ《広場 II》1948-49
この作品とても好きでした。同じ広場にいても、みんな向かい合うことなく、それぞれ違う方向を見ている。
なんだかこの展示会の空間にいる人たちとも重なっているように感じました。
もちろん過去が良い、現在が良い、という話ではありませんが「ピカソとその時代展」という名の通り、本当にピカソと同時代に生まれた、傑出した豊かな絵画芸術表現の「すごさ」のようなものを改めて感じさせてくれる、とても良い展示でした。