12月中旬に国立西洋美術館で開催されている「キュビスム展―美の革命」へ行ってきました。
本展はパリのポンピドゥーセンターから、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品が多数来日し、そのうち50点以上が日本初出品となります。
日本での本格的なキュビズム展はなんと50年ぶりとのこと!
もちろんほぼ全ての作品を初めて
そして昨年開催されたマティス展を私が20年ぶりに
「キュビスム」は絵画の歴史の中で必ず出会う言葉ですが、ではいざ「キュビスム」とは何かを説明するのはとても難しいです。
辞書には以下のようにありました。
キュビスム【(フランス)cubisme】
20世紀初めに、フランスを中心に興った美術運動。対象を複数の角度から幾何学的面に分解し、再構成する技法を創出。現代抽象美術に大きな影響を与えた。ピカソ・ブラックらが代表。立体派。キュービズム。
デジタル大辞泉デジタル大辞泉より
簡潔に言うと1つのモチーフの様々な見え方を、平面的な1枚の絵画の中に再構成する技法ということになります。
ただ「キュビスム」はあくまで技法・手段であり、それによって対象とする事物の『本質』を浮かび上がらせるのが目的というイメージです。
今回も撮影可能な作品が多く、様々な画家の描いたキュビスム作品を撮影することができました。
パブロ・ピカソ《女性の胸像》 1907年
ジョルジュ・ブラック「大きな裸婦」1907年春-1908年6月
確かにキュビスムですが、この作品は少しユーモラスに可愛らしく見えるのは私だけでしょうか...
マリー・ローランサン《アポリネールとその友人たち(第2ヴァージョン)》 1909年
ローランサンの中では一風変わった作風ですが好きな作品。
とても大きな絵で驚きました。
タイトルの通り、詩人のアポリネールを中心として、ピカソ、ローランサン、ガートルド・スタイン、ピカソの愛人のフェルディナンドなど、洗濯船における仲間たちを描いたモニュメンタルな肖像画です。
背景にはアポリネールとローランサンに馴染み深い、赤いミラボー橋が掛かっています。
まるで記念写真のような、青春の1ページを切り取ったかのような、素敵な一枚です。
フェルナン・レジェ「縫い物をする女性」1910年
こちらの作品はあまりにもカクカクと立体的なので、初期のバーチャファイターのポリゴンでできたキャラクターを思い出してしまいました。
もしかするとキュビズムという表現は現代のコンピューターグラフィックスを図らずも予見していたのかもしれません。
ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年
ロジェ・ド・ラ・フレネー「腰掛ける男性」1913-1914年
マルク・シャガール「ロシアとロバとその他のものに」1911年
思いもよらず大好きなシャガールの作品に出会えて嬉しかったです。
シャガールにしか表現できない鮮やかな色彩で描かれた、人間性や郷愁、物語性を感じさせる作品はいつまでも眺めていたくなります。
レオポルド・シュルヴァージュ「エッティンゲン男爵夫人」1917年
ル・コルビュジエ「水差しとコップ―空間の新しい世界」1926年
パブロ・ピカソ《輪を持つ少女》 1919年春
うまく説明できませんが、ピカソの描くキュビスムは段違いというか、他の作家と比べても、何かより深いところまで表現されているように感じましました。
キュビスムという技法により対象の本質を、奥の奥の方からダイナミックに(半ば力技で)引っ張り出してきてしまうようなイメージがあります。
それが観る人の心に深く突き刺さるような作品としての強さというか、ピカソ自身の凄さなのかなと思いました。
ここでは紹介できていませんが、本展では本当にたくさんの作家のキュビスム作品を鑑賞することができました。
まだネットもSNSもない時代にピカソとブラックの始めたキュビスムという技法が、初めは拒絶されつつも、かなりのスピードで世界中の画家に伝播して影響を与えていったという事実は本当にすごいことだし、「
また何より100年以上もたった今も多くの人を惹きつけているということが、